染色体凝縮、脱凝縮に関与するcdc2キナーゼの活性制御機構の中でwee1キナーゼに注目し、wee1キナーゼ活性制御因子を酵母two-hybrid法を用い、マウスwee1キナーゼと結合する蛋白質として単離することを試みた。その結果、ラット14-3-3ζとアミノ酸レベルで99.6%相同性をもつマウスcDNAが単離された。14-3-3はRaf-1やBcr-Ablなどのキナーゼに結合してその活性を制御しているとの報告がある。このマウス14-3-3ζをMBPやGSTの融合蛋白質として大腸菌で発現させ、バキュロウイルスで発現させたwee1との結合について調べたところ、非燐酸化型weelおよびcdc2キナーゼにより燐酸化されたweelのいずれにも結合することが明らかとなった。cdc2キナーゼにより燐酸化されたweelはcdc2/cyclinBと結合しているが、この複合体にも14-3-3ζは結合した。また、こり結合はキナーゼドメインを含むC末領域においてみられ、制御ドメインであるN末領域には結合しなかった。現在14-3-3ζのwee1キナーゼ活性に対する効果を検討中である。 一方染色体脱凝縮の制御機構が温度感受性であると考えられるtsTM13細胞についてはヒトゲノムDNA、neo遺伝子の移人、Alu配列をプローブにして2次復帰株のゲノムDNAライブラリーからおよそ20KbのゲノミックDNAがこのtsTM13細胞を相補する遺伝子として単離した。それをプローブにもちいてマウスcDNAライブラリーからcDNAを単離した。その結果このcDNAは未だ報告されていない遺伝子であった。一部タリンと相同性が高いが、それがどのような意味を持っているのかは今後の課題である。
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