DNA複製において正の制御因子であるライセンス因子が想定され、MCMがその候補として考えられている。ライセンス因子によってDNA複製が細胞周期あたり1回に限定されるが、この制御系において、核膜がライセンス因子の通過を妨げるという重要な役割を果たしている。本研究では、MCMファミリーに属する分裂酵母nda1及びnda4産物、アフリカツメガエルxMCM2産物及びxCDC46産物の、DNA複製時における機能及び局在の変化を核膜と関連して明らかとする事を目的とした。 nda4産物の機能を明らかにするため、nda4サプレッサー変異株を単離した。フローサイトメトリーの結果、サプレッサー変異株は制限温度下において1CのDNA含量の細胞が増加することから、DNA複製に関与することが示された。また、C末端にFLAGをつけたサプレッサー産物を分裂酵母細胞内で大量に発現し、FLAGに対する抗体を用いて蛍光抗体法を行った。同調していない細胞では、一部の細胞で核に局在が認められ、nda4産物と機能的に関連のあるサプレッサー産物は、核膜を通過する事が示された。 また、アフリカツメガエルxMCM2産物及びxCDC46産物において、免疫沈降を行ったところ、どちらの抗体を用いても、もう一方の産物が共沈してくることから、両者は互いに結合していることが示された。また、精子核を鋳型としたアフリカツメガエル卵抽出液を用いたin vitro DNA複製系において、DNA複製にともなうこれらの遺伝子産物の局在の変化を調べた。 xMCM2産物およびxCDC46産物は、DNA複製に先だち精子核に局在が認められたが、複製終了後、認められなくなった。これにより、この遺伝子産物は、DNA複製開始に関与すること、核膜形成以前にDNAと結合することが示唆された。
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