研究課題/領域番号 |
07282219
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
池村 淑道 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (50025475)
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研究分担者 |
天前 豊明 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (70270460)
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キーワード | 高等脊椎動物染色体 / 染色体DNA / 間期核 / 核内配置 / 複製タイミング / MHC領域 / FISH法 / セクショニング顕微鏡 |
研究概要 |
高等脊椎動物の染色体DNAがMbレベルでのGC含量の区分的構造からなり、その構造が染色体バンド領域と関係することを明らかにしてきた。バンド領域は複製のタイムゾーンと関係するとともに、クロマチン高次構造のドメインをなし、遺伝子密度や組換え頻度等を異にしている。Gバンド領域はAT塩基対に富み、遺伝子密度が低く、S期の後半に複製を行うのに対して、Rバンド、特にそのサブグループのTバンド領域は、GC塩基対に富み、遺伝子密度が高く、S期の後半に複製する。バンド境界をGC含量の変移点並びに複製タイミングの転換点として同定できる可能性が高い。境界の要件を満たす例を、ヒトMHC領域のクラスIIとIIIの境界部位に同定し、構造を明らかにした(Genomics、1995)。境界領域には、約20kbのAluの高密度集中領域と30kbのLINE-1の集中領域が近接して存在し、さらに、性染色体のpseudoautosomal boundaryと類似性の高い650ntのPABL配列が存在し、(ATT)nや(ATTT)nのようなリピート配列の存在も見い出された。複製については、S期の異なった時期にBrdU標識した新生DNAを分画し、PCR法により複製時期を測定し、GC含量変移点で複製時期が明瞭に転換することが示された。複製が起こっている間期核内においても、染色体は高度に組織化されており、複製は限定された領域で起こり、S期の進行に伴って複製域の核内位置が変化する。間期核内でのDNA配置については、セクショニング光学顕微鏡を用いた多色FISH法で3次元配置を測定した。性染色体プローブを用いた解析より、S期の最も遅い時期に複製する領域が核膜周辺に位置することが示され、一部が外側へ突出するように観察された。MHC領域の連続コスミドを用いた解析も進行している。
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