研究概要 |
分裂酵母の減数第二分裂に必須のmes1遺伝子は1個の短いイントロンにより2つのエクソンに分断されている。mes1イントロンは減数分裂細胞においてのみスプライスされる。減数分裂特異的スプライスの機構を明らかにするため、mes1スプライシングのためのシス因子とトランス因子の同定を試みた。 1.シス因子:mes1イントロンの5'および3'スプライス部位はGTTとCAGであり、いずれもコンセンサスから外れている。そこで,これらの配列に突然変異を導入し、コンセンサス配列に戻した遺伝子を作成した。これらの変異株でスプライシングが構成的に起こるようになるかどうかを現在検討している。 2.トランス因子:mes1遺伝子の第2エクソンにlacZをin frameで融合させたmes1-lacZ遺伝子を野生型株に導入した。この株をEMSで処理しβガラクトシダーゼ活性の現れないスプライシング変異株をスクリーニングした。約5万株から得られた71株の変異株の多くは有性生殖に何らかの異常や欠損を持つことが分かった。そのうち、表現型の明確な10株について詳細に検討した。その結果、減数第一分裂前期に欠損を示す株が得られ、現在細胞生物学的な検討と遺伝子クローニングを続行している。また、接合と胞子形成に欠損を示す株が得られたことから、減数分裂のみならず、有性生殖の種々のステップでRNAスプライシング段階の制御が働いていることが示唆された。
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