研究課題/領域番号 |
07300004
|
研究種目 |
総合研究(A)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 邦男 京都大学, 工学部, 教授 (20025927)
|
研究分担者 |
谷 直樹 大阪市立大学, 生活科学部, 助教授 (40159025)
西澤 英和 京都大学, 工学部, 講師 (70127116)
山形 政昭 大阪芸術大学, 芸術学部, 助教授 (30073282)
大場 修 京都府立大学, 生活科学部, 助教授 (20137128)
足立 裕司 神戸大学, 工学部, 助教授 (60116184)
|
キーワード | 文化財建造物 / 歴史的建造物 / 耐震 / 構造補強 / 保存修復 |
研究概要 |
平成7年度は、国宝・重要文化財建造物及び未指定の文化財建築物の被害状況調査を、近代建築・その他の工作物と、伝統的建築物の2つに分けて、阪神・淡路地区のすべての市町村について約1,300棟をリストアップし、現地調査を行った(1次調査)。その結果を、建築種別では、近代建築、近代住宅、民家、寺社の4種類、建築構造種別では、RC造、煉瓦造、木造の3種類、建築履歴別では、解体復元修理、部分修理、保存活用修復、未修理に分類して、被災傾向の分析を行った。また、1次調査の中から典型事例を抽出し、詳細な被害箇所の記録作成を行い(2次調査)、現在、約40棟の調査を終えている。この中で、「壁量」による耐震判定基準など、独自の分析視点も検討されている。また月1回のペースで、現地研究会を開催し、構造力学、都市計画、保存工学、建築史学の研究者、文化財保存修理技師、文化財行政担当者が一堂に会し、被害傾向、既徃の修理の有効度の判定の検討、調査結果の情報の交換などを行っている。また建築構造の分野では、伝統的構法の構造モデル(壁、建具など)を製作して、耐震性能の実験を行っている。さらに諸外国における文化財建造物の構造補強事例、保存技術資料、行政の耐震基準などの資料調査を行い、アメリカの事例が有効であるとの結論を得て、翻訳資料を作成中である。さらに、研究会のメンバーが、それぞれの専門分野を生かして、歴史的建造物の修復のアドバイスや、移築再生工事の技術的指導に関わっており、一定の社会的貢献も果たしている。ただ、震災復興の過程で、公的修復費が得られなかった未指定の文化財的建造物の多く、とくに住宅系の建物は取り壊されてしまった。最近になって、兵庫県が復興基金による公的補助システムを予算化したので、若干ではあるが未指定建造物の修復事例が報告されている。
|