研究課題
基盤研究(A)
世界の諸宗教文化の形成において聖典の果たした役割はきわめて大きい。本研究では、文書化された聖典と口承された聖典の両者を総合的に研究することによって、諸々の宗教観念や思考が人々の意識や思考に浸透していった様を明らかにしようと試みた。従来の聖典論においては、テクスト批判に基づく聖典の形式過程の究明やテクスト解釈に基づく観念論的思想史の研究が中心となってきた。一方で、聖典の受容形態、テクストが社会的文脈へと位置づけられる様態の研究は不十分であった。本共同研究においては、民衆の生活倫理や価値観に対する聖典の影響という視座を確保し、思想史と社会史の融合を図った。各宗教文化における聖典の形式・解釈・受容の比較検討によって、聖典の概念や聖典論の枠組みそのものを再検討することにも端緒をつけることができた。研究の成果は論文化され、報告書にまとめられた。これらの論文を基に拡充された聖典に関する論集が平成10年春に刊行予定となっている。
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