研究課題/領域番号 |
07301007
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
倫理学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大林 信治 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60047462)
|
研究分担者 |
石田 明文 京都大学, 総合人間学部, 教授 (20121808)
山本 雄一郎 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (50094529)
生越 利昭 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (30094527)
山中 浩司 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40230510)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
キーワード | 近代社会 / 観察 / 視覚 / 社会思想史 / 科学史 / 文学史 / 美術史 |
研究概要 |
本研究は、11名の研究分担者と5名の研究協力者の共同研究として平成7年より9年にかけて行われた。その主題は近代社会における「観察」あるいは「視覚」の突出した役割を、専門分野を横断する問題として明らかにすることにあった。研究の成果は以下の点にまとめられる。1)「近代社会」における「観察」あるいは「視覚」の突出という現象について、一般化されたレベルで論じられる以下の議論は、その時代設定や因果関係の推定においてかなり大きな不整合性をもついうこと。検討された議論は、イェーツ、パノフスキー、マンフォード、マクル-ハン、フ-コ-、ロ-ティー、アルパース、クレーリーである。2)「視覚」の優位に関する議論は歴史的には一貫したものではなく、18世紀には「触覚」の優位を強調する議論が存在する。3)「近代社会」の構成において「観察者」が果たす役割は公共空間の成立に密接に関係しているが、そのイデオロギー性について19世紀以降重要な疑問が呈されている。4)近代科学における「観察」の役割については、広く流布している「思弁」から「観察」へという一般的図式では理解できない、多くの事象が存在する。特に、数学的理性と器具を使用する「拡張された身体」との間の緊張関係は、コンテキストに依存した複雑な様相を示す。5)「スペクタクル」としての近代都市という理解は、都市の視覚的印象が強まり、文字や思想に重大な影響を及ぼしているという点で無視できない論点を提起している。6)最後に、いずれの領域においても、現象は無数の異なる源泉をもっており、全体を一般化することは不可能であることが明らかとなったが、同時に、新しい技術・技法・制度の誕生がこれまで考えられてきたよりも遥かに重要な影響を及ぼすということも明らかとなった。詳細については、平成10年度中に刊行予定の図書「視覚と近代-観察者の位相-」にまとめられる。
|