研究課題/領域番号 |
07301009
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 俊春 京都大学, 文学部, 助教授 (60198223)
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研究分担者 |
神庭 信幸 国立歴史民族博物館, 情報資料研究部, 助教授 (50169801)
越川 倫明 国立西洋美術館, 主任研究官 (60178259)
河口 公夫 国立西洋美術館, 主任研究官 (20249923)
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キーワード | 西洋美術史 / 科学鑑定法 / 絵画技法 / 顔料分析 |
研究概要 |
本研究は、平成7年度と8年度の2年間にわたる継続研究として進められている。研究の目的は、西洋美術史研究者の歴史的視座と修復家および保存科学者の絵画の物質的な性質に関する知識を融合させながら、科学調査法を用いることによって如何に有効に西洋絵画の研究を進めることができるのか、その可能性を探るという点にある、初年度にあたる本年度は、まず研究の準備段階として、画像処理のためのコンピュータ・システムを導入したほか、西洋絵画の保存・修復関係の図書を購入した。そして、4人のメンバーは主として、以下の研究を行った。 1.中村は、科学調査の有効性が美術史家たちによって認識されていく過程を明らかにするために、「ファン・メ-ヘレンの贋作事件」を契機にオランダで行われた科学調査とその報告書の歴史的な位置について研究した。また、国立西洋美術館が所蔵するマ-ルテン・ド・フォスの「最後の晩餐」を赤外線、x線を用いて調査した。 越川は、国立西洋美術館が所蔵するイタリア・ゴシック期のマリオット・ディ・ナルドの板絵の彩色法と金箔について調査した。また、「聖母載冠祭壇画」の再構成を試みた。 3.神庭と河口は、絵画から顔料を採取して行う絵画資料の分析法の現状と問題点について研究した。顔料分析のためには、ごく微量であるが、作品を「破壊」して顔料を採取する必要がある。「破壊」を最小限に抑える採取法について研究するとともに、敢えて顔料を採取してまで調査を行うことの是非について考察した。 以上の個別研究を進めながら、研究会において研究結果を報告することにより互いに意見交換を行うとともに、より大きな問題である科学調査の意義と美術史学における位置づけについて議論した。
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