研究課題
本年度も、各人の研究分担にかんする、社会的選択理論の既存業績をフォローすると同時に、あわせて固有の問題の掘り下げを行った。各人の個人的な研究の蓄積の上に立って、8年11月9/10日、9年1月25/26日、2月15/16日、の都合3回の研究会を開催し、総計15件の報告を受けた。とくに今年度は、社会学の実証研究との接点を求めて、隣接領域との交流も盛んに行った。それらの報告をもとに研究メンバー相互による論議および各人の研究テーマの深化をはかった。今年度新たに明らかになった解明されるべき論点として、(1)合理的選択理論と社会的選択理論との関係(2)社会階層や職業に対する価値の序列付けのような具体的な社会現象と抽象的理論の接続、(3)様々な集団や組織で行われている具体的な決定方法の定式化と解明、が挙げられる。また前年度に引き続き集合的選択ルールの代数学的構造を解明する、コンピューター・プログラムの開発を継続中である。なお、本年度は以上のような状況から、具体的な研究成果が挙がるまでには至っていない。