研究会は、宗教社会学の会の生駒調査グループを中心に組織された。研究会は、ほぼ隔月に英知大学において開催し、調査に必要な研究討議を重ねると同時に、適切な講師を招聘して必要な勉強会を開催した。宗教社会学の会の生駒調査としても位置づけられた本研究は、二年間に各研究員が精力的に調査を行った。なかには、延べ20回にのぼる踏査を行った者もある。 成果は、96年5月25日に行われた倉敷芸術科学大学における関西社会学会において、4名の者が代表者として立ち、中間調査報告を行うことができた。そこでは、共同報告「生駒の宗教と社会」と題し、三木英が「10年後の生駒の神々」、種田博之が「『石切神社』参道における『運命鑑定業者』の実態-1985年と現在(1996年)との比較より-」、中西尋子が「聖天信迎者の入信過程」、星野智子が「南陽院の水子供養についての社会学的一考察」を発表した。 村田充八は、96年6月29日の阪南大学公開講座において「生駒の神々をたずねて」と題して講演し、それは加筆訂正のうえ『阪南大学公開講座 河内の文化と社会』(阪南大学産業経済研究所、1997年3月)に掲載された。 95年4月から97年3月まで2年間に行ってきた調査の研究の成果は、97年3月に『民俗宗教の動態-生駒宗教調査-』と題した研究成果報告書としてまとめた(村田充八・三木英編著、阪南大学産業経済研究所刊)。そこには6本の論文をおさめることができた。論文名は次の通りである。 三木英・永富康人・敷波郁夫「10年後の生駒の神々」。三木英「山を降りて街のなかへ-民俗宗教の行方-」。星野智子「現代日本社会と水子供養-奈良県の二団体の水子供養調査を通して得た知見-」。種田博之「『石切神社』参道における『占い師』の実態-1985年と1986年との比較-」。中西尋子「信仰の継承-聖天信迎者のライフヒストリーから-」。村田充八「生駒の講-意味と活動の変化-」。なお、これらの論文は、加筆された形で、1998年3月刊行予定の『神宿る都市空間』(創元社)の一部として掲載される予定である。
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