研究課題
企業城下町ないし、それと共通する特性をもつ地域社会を例として、地域社会と環境との関係を具体的に記述し、各地域での問題解決への努力を通じて、都市と環境との望ましい関係のあり方を探求しようと、研究を続けてきたが、まだ完結していない現時点での中間総括を試みたい。具体的に対象としたのは、いわゆる企業城下町4市(室蘭・釜石・北九州・水俣)と巨大施設基地=地域(六ヶ所村・嘉手納町)であり、4市中では期せずして3市が新日鉄の鉄鋼都市であった。水俣市は20年前に別途市民意識調査を実施したので、同一質問を多用して、変化をたどることを目指した。以上の研究経過から集約されてきた論点を4点にしぼって摘記しておこう。(1)企業城下町はすべてきびしい公害問題を経験してきた。それぞれ、その反省の上に再生の道を歩もうとしているが、公害のきびしさが反省のきびしさ・広がりを規定し、北九州でも水俣でも市民参加による環境モデル都市づくりが現実化している。(2)釜石の事例は、かって8千を数えた製鉄所従業員が実賃3百に減少し、市人口も10万から5万に半減するなかで、日本的経営のメリットが生かされ、地域経済へのダメジを最小限に抑えることに成功している。(3)しかし六ヶ所・嘉手納では立地機関が国家的国際的スケールで、市民参加の手に負えず、マス・メディアを含む対応の再構築が不可避である。(4)最近急速に普及しているISO実用化は、21世紀には企業だけでなく家庭や諸機関を含め、自治体にかんしても同じ発想で普及されるべきである。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)