研究分担者 |
岡野 誠 明治大学, 法学部, 教授 (50110979)
中村 圭爾 大阪市立大学, 文学部, 教授 (00047383)
気賀沢 保規 明治大学, 文学部, 教授 (10100918)
礪波 護 京都大学, 文学部, 教授 (10027534)
池田 温 創価大学, 文学部, 教授 (90000570)
|
研究概要 |
計画の初年度である本年度は,本研究の第一の目的,即ち,10世紀以前の東アジアの各時代・各地域における,具体的な地域社会像を明らかにするための基礎的作業として,分担研究者それぞれの専攻分野と問題関心に沿って,内外の関連する研究文献と関係史料の収集・整理に努めた。 夏季には分担研究者と研究協力者の大多数が参加して,土肥義和の「九・十世紀敦煌社会の諸相-『社』関係文書を中心に-」,古瀬奈津子の「令外の官と皇帝・天皇権力-翰林院と蔵人所-」と題する口頭による研究発表などをめぐってシンポジウムを開催し,中国における地域社会の特質,君主権力・官僚制のありかたの分析を通して看取される日唐社会の類似性と相違点などについて,かなり掘り下げた討論をおこなった。 一方,中村圭爾は論文「六朝史と『地域社会』」を発表し,中国の魏晋南北朝時代の地域社会をめぐる従来の研究視角と,地域社会なる概念の構成要素について検討した。それによれば,研究視角に関しては,地域社会を普遍性をもつ理念型としてとらえる視角と,地域的特性をもつ多様な個別社会の総合ととらえる視角とが併存し,したがって魏晋南北朝時代の地域社会像の解明には,まずもって研究概念としての地域社会の定義をおこなう必要があるという。無論,本研究で言うところの地域社会は後者のことであるが,全般的にこの方面に関しては情報の乏しい史料群から分析に堪える好史料を見いだし,具体的な個別の地域社会像の解明に進むことが次年度の課題である。
|