研究課題
本研究の主題は階層と職業の関係であるが、前近代においては身分制との関連も問われてくる。以上のような基本的観点から、本年度においては古代については、ギリシアにおける労働・職業観を、中世については、労働観を検討し、さらに中世における司教層と法学者に焦点をおいた研究を行った。近代については、まずドイツに関しては教養市民層、ユンカー、手工業者、ジャーナリストについて、イギリスに関してはユダヤ人とジェントリについて、アメリカに関してはプランターとジャーナリストについて、フランスに関しては聖職者と中産階級について、ロシアに関してはインテリゲンツィアについて、それぞれ形成過程、意識、社会学的位相などを解明すべく努めた。総じて、歴史における身分・階層と職業の関係は、歴史そのものを構造的にとらえるうえで、従来十分な注意が払われてこなかった「不分明な部分」に光を投げかけうる、と言っても過言ではなかろう。これらの検討作業の多くは、それぞれ論文や著書として公表されており、全体としての成果は冊子体として公刊された。
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