研究課題/領域番号 |
07301063
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 健一 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80011328)
|
研究分担者 |
渡辺 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (80167163)
久保 光志 東京女子大学, 文理学部, 教授 (50137759)
礒山 雅 国立音楽大学, 音楽学部, 教授 (00118895)
前田 富士男 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90118836)
藤田 一美 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60065480)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
キーワード | 作品 / ストア派 / デカルト / バ-ク / カント / 演奏 / 結晶 / ハイデッガ- |
研究概要 |
われわれの研究成果として公刊する報告書の論集は、11篇の論文を以て構成される。それぞれが400字換算で50枚を超える本格的な論考であり、作品概念の歴史に関する最初の本格的な研究となった。その11点の主題を列挙するならば次の通りである。ストア派の詩論における作品概念、デカルトにおける作品概念、18世紀イギリスにおける「描写」と「表現」、E・バ-クにおける作品概念、カントと「藝術作品」の概念、モ-ツァルトニおける「作品」、作品概念と演奏実践の相関性、近代的作品概念としての「結晶」、モダニズムにおける作品と商品、西田幾多郎における「作られたもの」、ハイデッガ-における作品概念、である。われわれの論集は、研究主題の狙いに即してこれらを年代順に並べ、作品概念の歴史的な展開を少しでも把握できるように心掛けた。勿論、これらの11点では通史を展望するには不足であり、今後の研究に俟つべきところは大きい。それでも、将来の研究に対して基盤を与えるだけのポイントは明らかにしえたものと思う。今日理解されている意味での作品概念は、おおよそ西洋近代の所産であることは、かねてより知られていた。われわれの研究成果もまた、近世から近代にかけての、この概念の形成過程に関する研究を数多く含み、作品を指して使われた用語の確認から始めて、デカルトやカントのような哲学者における作品概念あるいは作品的な思考法だけでなく、モ-ツァルトのような藝術家の作品意識をも視野に収めている。そして、個々の論考は概念もしくは思想の微妙なひだを解析している。論集に収録しえた限りでは古代の思想に関する研究は一点だけだが、そこにも明瞭な作品意識を認めることができ、また19世紀後半から現代にかけての作品概念の多彩な展開の幾つかの相を明らかにするとともに、西田においても、近代的作品概念の一つの哲学的変容を捉えることができた。
|