研究課題
基盤研究(A)
1.明治以降1945年にいたる時期に、日本の政府および民間の諸機関は中国各地で各種の実態調査を行った。その成果をまとめた調査資料あるいは調査報告書は、日本の中国認識を跡づけるに役立つ資料であるだけでなく、経済、政治、地理など各方面にわたり当時の中国社会の状況を知り得る資料である。本研究は、これら調査資料の有効活用のために、中国主要部(華北、華中、華南)に関する調査資料について、解題つき目録を作成するための準備作業を行うことを目的とした。2.メンバーの役割分担を地域と分野別に行ったのち、調査資料を利用した研究報告を通して、資料の性格と資料的価値、利用にあたっての問題点について討議を重ねた。そのなかで明らかになったことは、資料の系統的な把握には調査者(機関)についての知識が必要であるが、満鉄を除いては、東亜研究所について関係者の回想と記録があるので、興亜院やその他民間の機関の調査活動については殆ど研究が進んでいない状況にあるということである。今後の課題として研究を続けたい。3.山口大学東亜経済研究所、京都大学経済学部図書館、同農学部図書館、および東洋文庫においてメンバー合同の資料調査を行い、資料の内容と書誌的事項について記録をとった。山口大東経研では、第一次大戦中から直後にかけて日本の青島守備軍が山東省各地で行った調査の報告書が多数あることに注目した。軍の調査活動については我々の研究対象に入っていなかったが、今後の重要な研究課題とすべきであると考えている。
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