研究分担者 |
原 恵理子 東京家政大学, 短期大学部, 専任講師 (80259126)
谷中 寿子 共立女子大学, 国際文化学部, 助教授 (10158016)
島田 法子 日本女子大学, 文学部, 助教授 (00206187)
高村 宏子 東洋女子短期大学, 欧米文化学科, 教授 (40216792)
篠田 左多江 東京家政大学, 短期大学部, 助教授 (60178879)
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研究概要 |
アメリカ史における戦争と女性の研究に関して,初年度(平成7年度)の目標は,(1)各研究分担者の研究分野における戦争と女性の関わりを再検討すること,(2)アメリカ史の中でジェンダーの問題がどのように取り上げられてきたのかを明らかにすること,の二点にあった。その基本点に立ち,4月にはゲスト講演者にアメリカの女性労働史についての最近の研究動向を紹介してもらうことで,研究のスタートを切った。その後,毎月の例会で各分担者がそれぞれの研究テーマを報告し,同時に共通の理論的枠組みの設定に必要な具体的課題について検討した。その結果,多文化主義論の中でも,とりわけジェンダー理論とエスニシティの問題との関連性についての研究に主眼をおくことが確認され,批評理論で注目されるトニ・モリソンの著作と,日本における最新のジエンダー研究の成果である岩波講座・現代社会学シリーズ(11)『ジェンダーの社会学』を取り上げ,理論的枠組み設定の作業に着手した。さらに最近日本でも注目されるようになったカルチュラル・スタディーズなどの議論にも関心が向けられるようになり,研究を進めていく上での視野がこの一年間で急速に学際化し拡大したことは大きな成果だといえる。 理論的枠組みを設定するにあたり,本研究の土台がアメリカの歴史研究にあることを踏まえるならば,「戦争と女性」研究の総論的基礎をどこに置くかが問題となる。そこにこそ本研究のオリジナリティが発揮されねばならないからである。このことは「戦争と女性」をテーマとしたときからの課題となっていたが,アメリカ社会への影響という点で,アメリカ現在史上もっとも重要と思われるベトナム戦争に焦点をあてることで意見のまとまりをみた。これが初年度における具体的研究実績の最大の成果である。
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