研究分担者 |
原 恵理子 東京家政大学, 短期大学部, 専任講師 (80259126)
谷中 寿子 共立女子大学, 国際文化学部, 助教授 (10158016)
島田 法子 日本女子大学, 文学部, 助教授 (00206187)
高村 宏子 東洋女子短期大学, 欧米文化学科, 教授 (40216792)
篠田 左多江 東京家政大学, 短期大学部, 助教授 (60178879)
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研究概要 |
「アメリカ史における戦争と女性」をテーマとした共同研究の本年度の重点は,(1)ベトナム戦争とアメリカの女性たち,(2)戦争とジェンダーについての理論的考察,の二点に要約できる。「ベトナム戦争と女性」は本研究の総論的基礎につながる事例研究としての位置にあり,また「戦争とジェンダー」はそのための理論的枠組みとして,相互不可分の関係にある。 (1)については,8月に行われたアメリカ史研究者夏期セミナーでのシンポジウム「戦争は社会に何を与えたか」(於・国立婦人教育会館)での報告を目標に準備をすすめ,またこの報告内容を基調とした紀要論文二篇にその成果をまとめた。報告と紀要論文は,ベトナム戦争期にはまったく無視されていた従軍看護婦や帰還兵の妻たちの存在と役割,反戦運動とフェミニズム,フェミニズムと人種問題・公民権運動,徴兵制度と女性等々の諸問題を考察したものである。これにより,「戦争とジェンダー」の理論的枠組みを構築する上で,ベトナム戦争の内包する諸問題の検討が一つの有効な事例研究となりうることを再認識するに至った。 (2)に関しては,従来の女性史から近年活発に論議されているジェンダー概念への発展過程の史的考察に焦点をあててきた。とりわけ女性と男性の差異と平等について,国民国家における女性の市民権獲得の問題に絡ませて解明しようと試みた。その際,戦争への女性の多様な関わり方に注目するとともに,戦時においては国家の側がいかにジェンダーの問題に機敏に対応してきたのかという点をも分析の対象とした。「戦争とジェンダー」のテーマは,ともするとその対象が白人中産階級の女性に限定されがちであるが,ここに人種と階級の視点をどのように組み込めるかが,今後の重要な課題となるであろう。なお,このテーマを総括的に論じたエッセイの研究誌への寄稿を次年度最初の成果とする予定である。
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