研究課題
本研究は、民事訴訟法の全面改正がなされ新法の施行を間近に控えた現時点で、改正前の民事訴訟実務の実態を調査して、新法の解釈運用に向けて実践的提言をすると共に、調査結果を客観的データとして保存し分析をすることを直接の目的とするものであるが、同時に、将来予定される全面改正後の実態調査の結果と比較対照することによって、今回の法改正がいかなる意義・効果を有していたかを検証するための、基礎資料を整備することをも目的とするものである。平成9年度は、3年間の研究計画の最終年度にあたり、地域相互間の比較、全国的な規模での種々の項目(訴状・答弁書および送達関係、準備手続・付調停・裁判官又は書記官の交替、争点整理期間の状況、弁論兼和解の実施状況、証拠調べ実施状況、和解関係、判決および執行分付与の状況、その他)についての第二次分析作業に取り組んだ。このために、数回にわたって研究分担者が集まって討議し、さらに、夏期には、集約のための合宿をする機会をもった。その成果は、本年度末に完成し提出の予定である報告書で明らかにされる。報告書には、前述の第二次分析の結果だけでなく、既に平成8年度までに作業をほぼ終えていた第一次分析の結果を全国規模で集約したものも記載する予定である。報告書は、多数の表やグラフを含むきわめて大部のものとなり、改正前の民事訴訟実務の実態を客観的に示す貴重な資料となる。本年度で本研究は終了するが、今後、報告書の公刊に向けてなお一層の研究を続けたいと考えている。