研究課題
今年度の研究の進展状況については、前年度から継続して行なってきた鈴木俊一氏(前東京都知事・現自治体国際化協会名誉顧問)に対するインタビューを7回(前年度よりの通算では17回)、後藤田正晴氏(元警察庁長官・元内閣官房長官)に対するインタビューを10回(同通算14回)実施したことに加えて、今年度より奥野誠亮氏(元自治事務次官・元国土庁長官・現衆議院議員)に対するインタービューを2回行なったことが主たる成果である。旧内務省出身の三者から、継続的、集中的にインタビューを実施した結果、新たなる知見を得ることができた。具体的には、戦前・戦中における地方(県)行政の状況、占領戦後期における地方財政制度整備の方針、警察予備隊発足時のGHQとの交渉の経緯、戦後の警察行政の流れ、内閣官房の役割の変遷、東京五輪時・いわゆるバブル期の東京都政、などが主要なものとして挙げられる。自治省、警察庁、東京都、そして政界・知事職とそれぞれに要職を経験した立場から、その時々の官僚機構における人事運営や意思決定の手法をもまじえての重要な情報がもたらされた。このような継続的、集中的インタビューをより実効性あるものとして実施していくために、迅速で正確な速記録を作成し、多くの資料を準備することにより、インタビュー前後の論点整理や質問項目の検討に役立てた。全体としては本プロジェクトは着実に成果を挙げ、基礎研究としての性格から見ても意義ある進展を示したと考える。