研究課題/領域番号 |
07302011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
社会法学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中井 検裕 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (80207711)
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研究分担者 |
斎藤 千尋 明海大学, 不動産学部, 講師 (30235048)
阪本 一郎 明海大学, 不動産学部, 教授 (40143680)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 土地利用規制 / 用途地域 / ダウンゾーニング / 開発権 |
研究概要 |
本研究は、我が国におけるゾーニングの代表である用途地域制に焦点をあて、その変更、特に強化がどのような場合に行われているかを明らかにし、またそれに対する財産権補償の考え方を考察したものである。まず、ダウン・ゾーニングの成立要因の分析では、開発権の内容を定義し、開発権の制限とダウン・ゾーニングとの関係を分析した。実質的開発権を制限しない場合はダウン・ゾーニングが行いやすいが、実質的開発権を制限する場合はそれに比べて実行が難しいと想定した。次に、実質的開発権を制限する場合であっても地権者が開発権行使の意志がない場合はダウン・ゾーニングに対する抵抗は小さいものと考え、ダウン・ゾーニングが実現しやすくなるとの認識を示した。 ダウン・ゾーニングは用途地域見直しの強化的側面を強調したものであるが、用途地域見直しの全体像が把握できないとダウン・ゾーニングの用途地域見直しでの位置づけを見逃しかねない。そこで、東京都及び神奈川県市部について昭和48年から平成7年までの用途地域見直しを調査し、用途地域見直しによる緩和・強化の状況、市街地状況による見直しのパターン分類、用途地域見直しと他の都市計画制度の適用との関係を分析した。その結果、用途地域見直しは緩和を中心に行われ、それには都市計画事業が少なからず関わっていることが明らかにされた。 一方、文献研究より、財産権の補償に関しては、ダウン・ゾーニングはポリスパワーの行使として基本的には補償の必要性がないことを示した。事例調査結果から見ると現実にゾーニングの強化は極めて限定的な状況でしかなされておらず、我が国ではゾーニングの強化を行う際の実現的な手段として間接的な補償が必要とされる場合があることを示した。そこで、インセンティブ・ゾーニングがダウン・ゾーニングを円滑に行うための手法として有効に用いられうることを示した。
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