研究分担者 |
赤間 道夫 愛媛大学, 法文学部, 教授 (30175781)
野口 旭 専修大学, 経済学部, 教授 (00208315)
川俣 雅弘 法政大学, 社会学部, 助教授 (80214691)
八木 紀一郎 京都大学, 経済学研究科, 教授 (30116511)
美濃口 武雄 一橋大学, 経済学部, 教授 (70017531)
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研究概要 |
〈日本の経済学者と学術研究〉 日本経済学界連合の組織とその活動を概観することによって、戦後日本の経済学者たちが広い領域において学会活動に取り組む様子が明らかにし、国際経済学協会(IEA)との関係を通じて国際交流を進めたことを概観した。さらに、戦後アカデミズム形成への公職・教職追放の影響、高度成長期以降の経済学文献(日本語)や研究者構成の推移を研究した。プロジェクト型の研究費や研究体制、領域別学会など、戦前・戦中期に戦後の経済学の発展にとって意味をもつ遺産が存在することが指摘される。 並行して、定評のある国際的な総合専門誌および応用分野の(英文)専門誌への日本の経済学者による貢献のデータを作成し、そのデータからは、日本の経済学者は通常科学におけるパズル解きや計量的分析が得意である反面、政策的な貢献は少ないことを読みとった。戦後日本のマルクス経済学の展開を,(1)学問の自由との関わり,(2)成熟と展開,(3)懐疑と新しい模索,の順で概観し,ふたたび経済学史研究としての方向へむかいつつあることを展望した。 〈日本の経済学者と政策形成〉 日本の経済学者たちの経済政策形成や行政改革の過程での貢献、経済学や経済思想が経済政策に与えた影響を研究した。まず、制度的な側面や経済計画の作成に関連して、経済学者の資源配分政策面での貢献を整理し、上級国家公務員試験やその後の研修にも注目した。次に、個別の経済学者の貢献にも注目した。中山伊知郎の場合、中央労働委員会の会長として労使関係の安定化に果たした役割と、歴代政府の経済政策の立案形成に参画し、指導的役割を果たしたことが重要である。東畑精一の場合、日本の農業の近代化を促進した貢献があげられる。1960年代の日本の貿易・資本自由化に関連して構想ないしは形成された経済政策について、産業構造政策を推進する側と批判する側の対立に焦点をあてて明らかにした。
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