研究課題/領域番号 |
07303004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣松 毅 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80012491)
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研究分担者 |
庄田 安豊 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40245353)
美添 泰人 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80062868)
鈴木 武 法政大学, 経営学部, 教授 (60105856)
豊田 敬 法政大学, 経営学部, 教授 (40106951)
和合 肇 新潟大学, 経済学部, 教授 (00091934)
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キーワード | 統計調査の早期化 / ネットワークの利用 / 業務統計の利用 / レジスターベースの統計 / 統計調査の負担の軽減 / データリンケージ / ミクロデータ |
研究概要 |
今回の研究の成果として、次の諸点が明らかとなった。(1)統計調査の早期化は、技術的には現時点でも可能である。例えば実査段階でのコンピュータを利用した面接調査・電話調査、ネットワークを利用した調査結果の回収・公表や入力・審査作業の軽減等である。このうち実査段階におけるコンピュータやネットワークの利用はほとんど浸透していない。また公表に関しても、既存の集計結果を画面表示しただけで、必ずしも期待に応えていない事例が多い。(2)業務統計の利用に関して、特にデンマークにおけるレジスターベースの統計利用の実態と日本の住民基本台帳を利用した人口移動の分析について検討した。デンマークでは、企業だけでなく世帯に関しても業務上集められた情報が統計作成に活用されている。両国では法律体系、社会保障制度が異なり、人口・経済の規模も違うので単純な移植は不可能であるが、負担の軽減という観点から、業務統計の利用を今後とも検討すべきである。(3)上記2点は、統計調査の負担をなるべく小さくし、その結果をできるかぎり有効に利用することである。現在プライバシー意識の高まりとともに、統計調査が困難になる一方で、社会の多様化にともなって従来とは違った統計データが求められている。それゆえ統計調査の効率化という、より広い観点からの研究が必要である。(4)統計調査の効率化を考える上で、今後ぜひとも検討が必要なのが既存の統計データのリンケージである。つまり異なる機関で分権的に行われている調査を水平的に結合して、ミクロデータの作成を可能とする技術である。特に企業統計について実現の可能性か高い。しかしながら、リンケージに必要なビジネスフレームの作成や効率的なコーディング、現行統計関連法規の再検討、分権的システムの見直し等、検討すべき課題は多い。 以上の諸点に関して、今回の研究は問題点の解明・指摘であり、改善の具体策は未検討である。また研究の過程で(4)の新たな検討課題も明らかになった。今後も統計作成者を交えた研究会を定期的に開催しながら、以上の諸点についての一層の研究が重要である。
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