多国籍企業の地球環境政策に関する総合研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07303007
• 研究機関: 神戸商科大学
• 研究代表者: 安室 憲一 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (50128782)
• 研究分担者: 榎本 悟 広島大学, 経済学部, 教授 (60111192) ; 林 満男 甲南大学, 経営学部, 教授 (10098436) ; 冨田 光彦 滋賀大学, 経済学部, 教授 (20024979) ; 井沢 良智 九州産業大学, 経営学部, 教授 (20140634) ; 鈴木 多加史 関西学院大学, 経済学部, 教授 (70088102)
• キーワード: 地球環境管理 / 環境監査 / ISO14001 / 環境倫理 / 環境税 / WTO / グローバル・スタンダード / 多国籍企業

研究概要

本研究の目的は、地球環境問題を企業経営に即したタ-ムによって究明し、研究・教育に役立てるとともに、企業経営者への啓蒙に貢献することである。研究対象を日本の多国籍企業に絞った理由は、多国籍企業は多数の国々の環境問題に関与するので環境リスクに曝されやすいこと。環境リスクは企業の経営を危うくするだけでなく、日本国の国際信用にも打撃を与えることが懸念されたからである。
従来の地球環境問題の研究は生態学や地球環境科学に偏る傾向にあった。企業経営に与える危険性や影響について、十分には理解されていなかった。そのため企業経営者の関心も低く、「公害対策」の延長でしかなかった。しかし、今日の地球環境問題の解決は局地的な「公害問題」では済まない。広がりと規模とにおいて、まさにグローバルである。経営者の意識改革が不可欠なのである。そのためには経営者が理解できるタ-ムで語ること、つまり経済的な利害損得から地球環境問題を説くことが必要である。本研究は、第1に、企業経営の文脈のなかで地球環境問題を論じ、企業が取らなければならない環境管理や行動計画などを具体的に論じた。第2に、地球環境問題をグローバルな視点からとらえ、企業のグローバル戦略として定着化させるさいの考え方や方法を論じた。第3に、地球環境管理・監査(ISO14000)をグローバル・スタンダードとしてとらえ、今後の企業経営に与える影響の大きさを明らかにした。こうしたグローバル・スタンダートは、世界で活動する日本の多国籍企業にとって、死活的重要性をもつものである。

研究成果

• [文献書誌] 安室憲一: "環境マネージメント" 公営企業. 28・4. 45-52 (1996)
• [文献書誌] 安室憲一: "日本の多国籍企業における環境管理・監査システムに関する実態調査報告" 神戸商科大学経済研究所研究資料. No.155. 1-37 (1996)
• [文献書誌] 鈴木多加史: "地或における環境勘定" 地或学研究. 26・1. 1-11 (1995)
• [文献書誌] 鈴木多加史: "環境と経済-そのマクロ的把握" 経済学論究. 51・3. 10-21 (1997)
• [文献書誌] 林 満男: "グローバル企業倫理の構築に向けて" 経営行動. 10・1. (1995)
• [文献書誌] 林満男: "企業倫理の基礎付けに関する一考察" 経営哲学論集. 12集. (1996)
• [文献書誌] 林 満男: "経営倫理の国際比較と展望-米独日を例として-" 日本経営倫理学会誌. 5号. (1997)
• [文献書誌] 林 満男: "グローバリゼーションにおける企業倫理と戦略" 甲南経営研究. 38・2. (1997)
• [文献書誌] 大石芳裕: "日本多国籍企業の環境経営-3つの報告書の検討-" 明治大学「経営論集」. 45・1. 35-71 (1997)
• [文献書誌] 大石芳裕: "日本自動車会社における地球環境対策" 日本経営学会誌. 2号. (1998)
• [文献書誌] 大石芳裕: "日本自動車会社の環境経営" 経営学論集. 68集. (1998)
• [文献書誌] 青木美樹: "中国の環境政策" 九州国際大学国際商学論集. 7・1. (1996)
• [文献書誌] 森 樹男: "海外現地法人における環境マネジメント-コニカ・ビジネス・マシン・ヨーロッパGmbHのケースを中心として-" 弘前大学経済研究. 20号. 99-109 (1997)
• [文献書誌] 井沢良智: "日本企業のグローバル化と環境秩序への対応" 井沢良智著『日本企業グローバル化の構造』学文社刊. (1996)
• [文献書誌] 佐々木 弘・公営企業金融公庫監修: "「講座.公営企業のための経営学」第12講「環境マネージメント」(安室憲一)執筆(p141〜153)" (財)地方財務協会, 282 (1997)