研究分担者 |
榊原 茂樹 神戸大学, 経営学部, 教授 (10030719)
小嶋 博 名古屋学院大学, 商学部, 教授 (50234761)
生駒 道弘 近畿大学, 商経学部, 教授 (10031840)
後藤 幸男 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (50047445)
森 昭夫 金沢学院大学, 経営情報学部, 教授 (30030703)
|
研究概要 |
1.本年度は,昨年度の予備的な研究成果を踏まえ,構造変革期における我が国企業の財務行動を考察するため,以下の諸作業を行った。 (1)非金融業の全公開企業,2,805社を対象にした,財務問題全般に関する網羅的なアンケート調査を行った。 (2)昨年度に続いて,実態把握のためのインタビュー調査を行った。本年度は,一般の事業会社のみならず,証券取引所(東京証券取引所)やシンクタンク(野村総合研究所)をも調査対象にした。 2.予定以上に大規模な調査を行ったため,十分な分析にはなお時間を要するが、現時点で暫定的に得ている結論を簡単に要約すると以下の通りになる。 (1)資本コストや配当政策といった財務問題に対する我が国企業の経営者の意識は,通説的に主張されている通り,アメリカ流のテキストブックに基づいて理論的に説明のつけようのない,極めて独特なものであること。 (2)ただし,かかる一見不合理にみえる我が国の実態も,株式の所有構造・保有動機の特殊性や資本市場における制度的な諸状況といった,企業経営や経済状況の日本的な特徴を前提に考えると,合理性を有していたとみなせること。 (3)しかし、株主の意識の変化や経済の市場化といった最近の経済環境の変化の実態は,上述の日本的特徴がなくなり,いわば,アメリカ流のテキストブックが想定しているような状況になること意味しており、こうした「構造変革期」たる今日においては,従来の我が国企業の財務行動や経営者の意識の特殊性は,明らかに不合理である状況になってきている。したがって,実務家は,今こそ意識改革が必要であること。
|