政策決定における公会計の役割

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07303018
• 研究種目: 総合研究(A)
• 研究機関: 横浜国立大学
• 研究代表者: 隅田 一豊 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (00047911)
• 研究分担者: 林 昌彦 流通科学大学, 情報学部, 講師 (40248159) ; 瓦田 太賀四 神戸商科大学, 商経学部, 助教授 (00169781) ; 亀井 孝文 流通科学大学, 情報学部, 教授 (80109719) ; 河野 正男 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (50049607) ; 吉田 寛 流通科学大学, 情報学部, 教授 (10047425)
• キーワード: 公会計 / 業績評価システム / 連邦政府会計 / 地方公営企業会計 / ファンド会計 / SNA / 外郭団体の会計 / 基金会計

研究概要

平成7年度までの研究では、諸外国の公会計制度を文献および資料によって分析し、横浜市、神戸市、高砂市の資料を収集し、ヒアリングした結果、現状の公会計制度自体が政府内におけるそれぞれの経済活動の測定値を収集したに過ぎなく、都市全体の業績評価を可能にするものではないことが判明した。そのため都市全体を社会経済システムとして捉え、社会経済システムの管理・運営を遂行するためには、いかなる情報が必要であるのかが問題点として残された。そのために、マクロ的視点により、公会計情報システムを検討するために、1993年に改訂されたSNAの勘定構造を分析し、それらの勘定構造を公会計システムに導入することが可能かどうかの検討を試みた。その結果、それらの勘定構造が公会計システムに導入することが可能であることが判明した。さらに、そのことの関して諸外国の公会計制度を分析した結果、すでに、SNAの勘定構造を公会計システムに導入している国もあることが明らかとなった。ただし、SNAの勘定構造を導入することによって、具体的にどのような政策決定支援システムが構築されているのかが不明であるために、そのことを次年度以降において解明していく予定である。
また、現在の公会計制度では、個々の政策の効率性、有効性、経済性に関する情報が皆無の状況であることが判明したために、現在、それらの情報システムを構築し、政策決定支援システムの中心に据えることが、英国の資源会計の分析の結果、有用性を高める可能性があることが明らかとなった。

研究成果

• [文献書誌] 隅田一豊: "地方公営企業における経営分析とディスクロージャー" 公営企業. 27. 20-27 (1995)
• [文献書誌] 隅田一豊: "外郭団体の会計・情報開示及び監査制度のあり方" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 124-143 (1995)
• [文献書誌] 隅田一豊: "参加型行政の推進とアカウンタビリティの拡充" 地方自治研究. 10. 31-39 (1995)
• [文献書誌] 隅田一豊: "地方自治体における業績測定と報告" 横浜経営研究. 16. 28-37 (1995)
• [文献書誌] 隅田一豊: "アカウンタビリティの拡充とSEA報告" 会計. 148. 93-107 (1995)
• [文献書誌] 吉田寛: "地方自治体会計の改革を巡る世界的動向" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 3-23 (1995)
• [文献書誌] 吉田寛: "コンティンジェンシー・モデルによる公会計の国際比較" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 180-204 (1995)
• [文献書誌] 河野正男: "改訂SNAについて-勘定構造を中心として-" 会計. 148. 1-14 (1995)
• [文献書誌] 橘晋介: "情報公開と自治体財務管理" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 46-68 (1995)
• [文献書誌] 亀井孝文: "ドイツ地方公営企業における会計問題" 会計. 149. 102-107 (1995)
• [文献書誌] 瓦田太賀四: "公会計における有用性アプローチの再検討" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 109-123 (1995)
• [文献書誌] 瓦田太賀四: "公営企業会計" 飯野利夫喜寿記念論文集刊行会編『財務会計の研究』. 185-196 (1995)
• [文献書誌] 林昌彦: "連結決算" 神戸都市問題研究所編『自治体会計の理論と実践』. 163-179 (1995)
• [文献書誌] 神戸都市問題研究所編: "自治体会計の理論と実践" 勁草書房, 204 (1995)
• [文献書誌] 飯野利夫喜寿記念論文集刊行会編: "財務会計の研究" 税務経理協会, 404 (1995)