研究課題
基盤研究(B)
2年間の本計画の間、東京大学駒場キャンパスと、神戸大学において、それぞれ月例セミナーを持ち、これを研究上の交流の拠点にした。数学上の中身について言えば、我々はまだSelberg跡公式については主たる目標には到達できなかった。しかしながら、他の主題については、例えば、比較的小さなLie群の上の明示的な調和解析に関しては、本計画の前に想定したより以上の進展があった。これらの成果によって新しい問題、例えば、ポアンカレ級数の様な大域的な対象を構成し、それを調べると言ったような問題が得られる。研究代表者の織田は、日本学術振興会の特別研究員・都築正男や宮崎琢也、また神戸大学大学院学生の早田孝博の各氏の若い研究者と、階数1、2のLie群の一般化された球関数(標準表現の行列係数、Whittaker関数等々)を研究した。この主題に関する2、3の共著論文は諸雑誌に投稿された。分担者荒川は、多変数の正則保型形式の種々の古典的な基本的な結果をJacobi群上のものに拡張した。宮城教育大学の高瀬幸一と共に、織田・荒川は「保型形式論」の月例セミナーをセミナーを組織し本計画の拠点とした。このセミナーの目的の一つに、Selberg跡公式に関する基本的な知識を得ることがあった。聴衆の中の若い人の何人かはこの主題に関する標準的な事実に慣れ親しむ様になった。菅野と村瀬は新谷関数を用いて古典群上の保型的L-関数に関する彼ら自身の理論を進展させた。GLnの場合は出版され、ユニタリー群の場合はまもなく講義録にまとめられるであろう。伊吹山は斎藤裕とともに、跡公式の研究を継続した。彼はまた室蘭工業大学の桂田英典とEisenstein級数のFourier展開の研究を開始した。山崎と村瀬は神戸大学において月例セミナーを組織した。
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