研究概要 |
深谷は小野と共同でシンプレクティック多様体の周期ハミルトン系の周期軌道に関するア-ノルドの予想を証明した.また,グロモフ・ウィッテン不変量の任意のシンプレクティック多様体に対する構成を行った. また,深谷はA無限大圏のホモロジー代数とその境界付き多様体のフレア-ホモロジーへの応用についての,論文を執筆した. 分担者はそれぞれの,研究を発展させたが,それらに加えて,本研究研究計画の本年度の中心として,深谷は古田らと主に,物理学,特に,超対称性を持つゲージ場の理論,超弦理論に関する,セミナーを行なった.セミナーは,数学者が物理の本論分を自分の言葉で読み理解する,ことを目的として行われた. 上記の分野は,数学と物理学の交流が,活発である分野であるが,数学者の関係する物理学についての理解は,皮相的なものにとどまり,必要におおじて,あるいは,現在の自分の研究に関わるものが物理に現れたときに,付け焼き刃的に,勉強することが多かった.本研究の目的でを,発展的に解釈し,幾何学と関わりが深い物理学に分野における,付け焼き刃的でない理解を,数学者の間に作ることが,本年度の,本研究の中心的な目標であった. その結果として,セミナー参加者の幾何学に関係深い物理学に対する理解は,組織的になり,サイバーグとウィッテンによる超対称性をもつ場の理論の双対性,あるいは,近年発展している弦リンにおける双対性などについて,物理学者を通して間接的に学ぶのでなく,直接それに触れる能力を見につけた. これらをもとに,3月末に,サイバーグ・ウィッテン理論についての,報告会を行い,数学者の多くが超対称性を持つゲージ場の理論,超弦理論等についての,物理学の思考を理解し,それを自らの研究に生かすことができるように,努力した. また,同時にゲージ理論・弦理論における双対性などの数学の言葉での解説を中心とした,250ページ程度の報告集を作成した.数学者からの関係する物理学へのアプローチとしてユニークな価値を持つものと信ずる
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