研究課題/領域番号 |
07304018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
難波 完爾 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40015524)
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研究分担者 |
筧 捷彦 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20062672)
土居 範久 慶応大学, 理工学部, 教授 (50051553)
小林 孝次郎 東京工業大学, 理学部, 教授 (00016148)
榎本 彦衛 慶応大学, 理工学部, 教授 (00011669)
川合 慧 東京大学, 教養学部, 教授 (50011664)
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キーワード | 情報構造 / 複雑性問題 / 多項式時間アルゴリズム / 計算量の下限 / 整数の素因数分解 / 有限体の上の楕円曲線 / 可換群の位数 / フックスの関数 |
研究概要 |
この研究は数学ならびに情報構造における複雑性に関するものである。計算量や複雑性の問題の具体例として、整数の素因数分解や素数判定のアルゴリズムの複雑性(complexity)を研究している。 具体的アルゴリズムの適用例として、有限体の上の楕円曲線のj-不変量を助変数xとして、楕円曲線から自然に定まる可換群の位数を表現する関数を用いることを試みている。例えば、楕円曲線のワイヤストラス標準型に対応しては、ガウスの微分方程式の解であるフックスの関数 a_<12>(x)=x^<[(P+1)/4]>F(1;5/12,7;11/12,1,1-x) で表現されることが解る。特に、関係a_<12>(x)=±1は整数の素因数分解と深く関係している。勿論、関係a_<12>(x)=0の方はスーパー・シンギュラーの場合に対応しているが、素因数分解に関連する方は乗法の単位元1の方である。 特に、p=(n+1)^3-n^3=3n^2+3n+1の形の素数に対しては確率1/6の確率的多項式時間の素因数発見法が存在する。これは数年前に既に発見されたものであるが、このような多項式が他に存在するかどうかは非常に興味のある問題である。将来の研究に待たなければならない。 有限体の上の微分方程式という立場から、楕円曲線に付随したアーベル群の位数を見ると代数的関係と、微分方程式のモノドロミ-群の構造を、有限体上4次元の空間の幾何学を通じて見るのが自然であるとの感を強くする。 この研究を通じて、有限体の微分方程式という視点にいくらかの光を当てることができたと考えている。これから多くの具体的な問題も明らかになっている。
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