研究課題/領域番号 |
07304029
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
九後 太一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00115833)
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研究分担者 |
矢彦沢 茂明 立教大学, 理学部, 助教授 (00192790)
菅本 晶夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (70132686)
坂東 昌子 愛知大学, 教養部, 教授 (20025365)
加藤 光裕 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80185876)
風間 洋一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60144317)
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キーワード | ニュートリノ / 動的ゲージ粒子 / 正則化 / 光円錐量子化 / B中間子 / D-brane / supermembrane / M理論 |
研究概要 |
本研究班の今年度の研究実績も多岐にわたっているので、ここでは、そのうち主なものについて述べる。 1.対称性のダイナミカルな自発的破れや力学的破れに基づく統一理論の分野では、次のような仕事がなされた。九後は、SuperKamiokandeの報告とMSW解の示唆するニュートリノの混合を、GUTのquark-lepton間のparallelismと矛盾なく理解できるような、right-handed neutrinoのMajorana質量行列の自然なtextureを提唱した。坂東は動的ゲージ粒子の存在が、低エネルギー理論では漸近非自由なゲージ理論に見えることを指摘し、Grassmannian模型を例にとって示した。鈴木は、FrolovとSlavnovによって提案された一般化されたPauli-Villars正則化の方法を一般のゲージ表現の場合に拡張した。中野は、orbifoldコンパクト化されたE_8×E_8型の混成弦に対してアノマラスU(1)を調べ、アノマリ係数(Green-Schwarz定数)を計算した。原田は、光円錐量子化のp^+=0モード問題が、粒子数を変える相互作用にあることを指摘し、それをユニタリ変換を用いて消去するという繰り込み処方を提案した。菅本は、B中間子の崩壊に関する問題や、中性子の電気双極子能率と宇宙のバリオン生成に関して多くの成果をあげた。 2.超対称ゲージ理論や弦理論におけるdualityや非摂動論的ダイナミックスの分野でも様々な仕事がなされた。国友は、I型超弦理論におけるD5-braneの基底状態を記述する位相的場の理論を構成し、D5-braneの第二量子化について考察した。松尾は、開いたsupermembraneをLight cone gaugeで記述しそのboundaryとしてあらわれる5ブレインの構造を調べた。風間は、M理論の基本構成要素であるD粒子の散乱振幅を、有限の質量を持つ量子化されたD粒子同士の場合に、初めて計算した。加藤は、時空の非可換性を出発点にして弦理論の非摂動的な定義を与える一つの試みを提唱した。 この2.の分野をテーマに京都大学基礎物理学研究所で今年度夏に開催したSummer Institute '97は大変盛況で活発な討論が行われた。そこでの成果や講義録は研究成果報告書に掲載する。
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