研究課題/領域番号 |
07304045
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
海崎 純男 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20089874)
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研究分担者 |
石原 浩二 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20168248)
澤田 清 新潟大学, 理学部, 教授 (40089850)
石黒 慎一 九州大学, 理学部, 教授 (80111673)
飯田 雅康 奈良女子大, 理学部, 教授 (00107343)
舟橋 重信 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30022700)
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キーワード | 超分子効果 / メゾスコピック / ミセル系 / 溶媒和構造 / 配位子置換反応 / 酸化還元反応 |
研究概要 |
本年度は個々の研究班員で、それぞれの分担に従って研究が行われるとともに、一部班員間では共同研究が進行中である。これらの成果の一部は平成8年11月初旬の研究報告会で総合討論した。幾つかの研究成果について、列記する。 1)溶存金属錯体における二座キレート配位したアミノ酸や多座配位したアミノポリカルボン酸の立体化学を明らかにする目的で、それぞれのカルボン酸に隣接したメチレン基を重水素化した錯体の^2HNMRシフトの溶媒依存性を比較検討した.第一義的にはアミノプロトンへの溶媒和がキレート環の立体配座の変化に大きく影響を与えることがわかり、さらにアミノプロトンがない場合においては、配位酸素原子への溶媒和が次に大きな寄与をすることが明らかになった. 2)水溶液中の4配位平面型白金(II)錯体の第二配位圏の構造を同形置換溶液X線回析法により研究した.アンミンやアミン錯体については、6配位八面体型錯体と比較検討し、〔Pt(NH_3)_4〕^<2+>では第二配位圏のピークは3.5Åから5Åに続き、酢酸塩では4.0Åに、塩化物では4.3Åに明瞭なピークが見られた。〔Pt(en)_2〕^<2+>の第二配位圏のピークは4Å付近に見られた.〔Pt(en)(phen)〕^<2+>からはphen配位子近傍に12・13個の水分子が存在していることがわかった. 3)微量の水分子は塩基性の低い不活性な有機溶媒中では単量体として存在し、その反応性は低いことおよび、これに塩基性度の高い溶質が共存するとS・・・H-OH水素結合による酸素電子密度の増大に伴い配位能が大きくなることがわかっている.このような一連の研究の一貫としてDMSOやTOPO,TBPを塩基性溶質として用いることによって、水分子が二量体としても存在していることが明らかにされた. 以上の成果からも推察されるように、溶液内構造の溶媒依存性が中距離相互作用との関連において、より意識的に研究される傾向が一層明確になってきた。このような傾向は超分子効果の前駆現象として捉える立場から溶液錯体化学の新しい領域を拓くことを目的とした本研究班の方向性と一致し、それが昨年度にも増して研究班全体の研究の流れとなつていることがわかる。
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