研究課題/領域番号 |
07304050
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
舘野 義男 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 教授 (00202424)
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研究分担者 |
山口 宏 大阪大学, 蛋白質研究所・物理構造部門, 助手 (10252719)
森山 英明 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (50200457)
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 助手 (20249949)
五篠堀 孝 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 教授 (50162136)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 分子系統 / タンパク質高次構造 / 進化モチーフ / ウイルス進化 / 正の自然選択 / チトクローム酸化酵素 / 脱水素酵素 |
研究概要 |
遺伝子やゲノムの一次構造が解読されるにつれて、多くの遺伝子の各々が起源や進化史の違う複数の部分領域から構成されていることが明らかになってきた。つまり、「1遺伝子1機能」或いは「1遺伝子単構造」という概念より「1遺伝子多機能」或いは「1遺伝子複構造」の考え方が普及しつつある。遺伝子が複数の部分領域から構成されていることは、その遺伝子が進化的に複数の構成単位が組合わさって出来てきたことを物語る。このことは、生命の起源時においては、遺伝子はより単純な構造から出来ていたことを示唆する。このことを検証するため、 (1)国際DNAデータバンクに集められている全ての完全配列データを自動翻訳して、タンパク質の1次構造データベースを作り、それを相同性を基準にして分類した。この分類群を進化的に解析するため、それに属するタンパク質の進化系統関係を取り入れて、マルチプルアラインメントを実行した。その結果を利用して、進化的に保存されている領域(Evolutionary Motif、EM)を探索した。EMの平均長は60アミノ酸残基位と推定された。現在の遺伝子は、種々のEMの離合集散の結果形成されたものと考えられる。 (2)EMは、疎水アミノ酸が主となっている疎水型、親水アミノ酸が主となっている親水型そして中間型に分けることができる。そして、疎水型は、タンパク質の内部で構造的な役割を果たし、親水型は、表面で機能的な分担を担う、と考えることができる。また、 (3)遺伝子の進化機構を探るため、やはり大量のタンパク質1次構造データベースを利用し、各々のタンパク質をコードする遺伝子の塩基置換様式を解析した。その結果90%以上の遺伝子が中立的な進化をしていることが明らかになった。つまり、残りの少数が正の自然淘汰を受けていることになる。従って、大半の遺伝子の進化は中立的な進化機構で説明できる。さらに、 (4)脱水素酵素やチトクローム酸化合酵素などのタンパク質の3次構造を実際に決定することにより、それらの精密な反応系や、ドメイン構造が非常に明確になった。 これらタンパク質の1次構造から高次構造にわたる解析結果は、上記のように、「遺伝子はその特定な部分構造を単位として生成され、進化している」ことを強く支持する。
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