研究分担者 |
大藤 茂 富山大学, 理学部, 助教授 (60194221)
金川 久一 千葉大学, 理学部, 助教授 (40185898)
清水 以知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40211966)
中嶋 悟 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80237255)
鳥海 光弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10013757)
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研究概要 |
本研究の目的は,「断層」をキーワードに,地震と地震予知・地球内物質大循環・廃棄物処分問題など,学問的にも社会的にも重要性の高い問題に焦点をあてながら,断層と断層内プロセスを総合的・学際的に研究することである.2年間の研究期間に以下のような成果を得た。 (1)精密イオンポリシャー(米国ガタン社製,691型)を導入して,透過型電子顕微鏡による変形微細組織の観察を組織的に進める体制を整えた. (2)断層と深部断層岩のカタログ作り:断層に関する膨大な文献を整理し,断層をみる統一した視点を確立して,様々なテクトニクス場で形成された断層の特徴と多様性を把握するためには,断層のカタログを作る必要がある.本研究では,3つの断層を選んでカタログの雛形を作成した.3年後を目処にカタログを出版する体制を整えた. (3)リソスフェアの強度断面の決定と新しい断層モデルの提唱:高温二軸試験機を用いて,地温勾配と同様に温度を圧力に比例して増加させて,リソスフェアを横断する形で岩塩剪断帯の強度断面を初めて決定した.実験結果は既存のどの断層モデルとも異なる.実験結果に基づいて新しい断層モデルを提唱した. (3)高速摩擦の性質に基づいて地震の2段階発生論を提唱した.この説は,既存の断層の構成則に基づいて予想される地震の震源核が不安定になって断層が加速すると,高速領域にはいってvelocity strrengtheningのバリアによって断層の加速が抑えられ,断層がこのバリアを乗り越えた時に地震の発生に至るというものである.地震の第2種空白域がこのモデルによって説明できる可能性がある.
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