研究概要 |
動的外乱に対する構造物の応答の重要性が増し,「振動制御」の概念が土木工学の中でも受け入れられつつある。本研究では,建設系構造物に特有の振動を地震,風,交通による振動の三つに分け,それぞれに対して,外乱や応答の評価を含めた制御問題の明確化,各種制御法の特性の解明・比較を行った。今年度の具体的な研究内容は以下のとおりである。 1.地震による振動の制御 アメリカ土木学会・構造制御委員会によって企画された構造振動制御のベンチマーク比較に関する国際研究に対応して,3層建物の地震応答制御問題に種々の制御則を適用して比較検討をした。状態方程式に基づくモード制御の定式化やATMDによるスライディングモード制御に関する新たな知見を得ている。 2.風による振動の制御 吊形式橋梁主塔の風による振動のアクティブ制御実施例を調査し,制御設計の考え方の現状を整理した。また,超長大吊橋のフラッター制御として,暴風時質量付加式などの方法を数値解析を基に検討し,制御特性を明らかにした。 3.交通による振動の制御 高架橋の交通振動に基づく騒音問題に対してアクティブ騒音制御の可能性を種々検討した。また,キャットウオ-クシステムの作業歩行による振動を制御する方法として2次ケーブルを想定してその制御性能を実験的に明らかにしている。 4.制御性能検証実験システムの構築 各種制御法の性能を実験により検証するために自由度の高い制御実験システムを実験室レベルで構築することを試みた。
|