研究課題/領域番号 |
07305022
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥村 誠 広島大学, 工学部, 助教授 (00194514)
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研究分担者 |
秀島 栄三 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50243069)
多々納 裕一 鳥取大学, 工学部, 助教授 (20207038)
小林 潔司 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50115846)
岡田 憲夫 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026296)
木俣 昇 金沢大学, 工学部, 教授 (30026166)
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キーワード | 土木計画 / 施設計画 / 分散処理 / 社会基盤整備 / インフラストラクチャー |
研究概要 |
これまでの社会基盤の整備論は、情報を完備した単一主体である行政を前提にしている。しかし、個性を持ち、利用者の実情にあわせた施設整備が求められ、民間主体の関与も多くなっている現在、複数の主体を念頭に置いた新しい計画論が必要になってきている。本研究では、分散型システムの特徴を整理し、計画プロセスへの導入に関して2年間の研究を実施してきたが、最終年度の本年度は以下のような知見を得た。 1.計画主体論から分散処理の意義を位置づけた。分散処理形態を取るシステムには、本来単一の主体が処理すべき計画を分割して処理する場合と、本来多数の主体が関与している問題において協調化がなされている場合に区別される。いずれも部分主体の計画能力の高まりを前提とするが、部分主体の行動に他の部分主体に関する情報をどのように考慮させるかが大きな問題である。貯水池群のコントロール問題を例に、数学的構造を分析した。また、道路整備案の選定において個別の区間の特性と合わせ広域的な情報を考慮するためのシステムを提案した。 2.災害時には、計画主体内部の情報伝達能力が低下し、中央集権的処理に代わって現場で分割的に処理が行われる例が見られた。阪神淡路大震災時に多く見られたボランティア活動のような分散型の処理形態について考察した。この種の分割処理形態は空間的分割により時間節約を図るという情報処理分野の分散処理の考え方に近い。 3.基板施設のソフト化にともない、施設を頻繁・高度に利用する利用者や民間主体との相互作用を考慮する必要がある。その際利用者・民間主体の個別の目的と、広域的・全体的な目的の調整方法が問題となる。都市開発事業を対象にして、コンフリクトの発見、協調化のための情報提供の在り方、ルールの決め方について考察した。 以上の研究により、分散処理化に関する問題点とその解決の方向性を例示できたと考える。
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