研究課題
総合研究(A)
本研究では、導電体界面を種々の方法により修飾し、電化伝達の方向、速度などの制御を行い、さらに電荷伝達に伴う化学反応、色変化、電極表面修飾相のモルフォロジー、レオロジーなどの変化を制御して、スイッチ、センシング、電子シャトル、分子認識、解媒作用、エネルギー変換、情報変換などの機能を制御できる系を確立することを目的とする。本年度は、次のようにして研究交流を実施した。まず、平成7年9月29日〜30日に電気化学協会秋季大会で本研究メンバーが主体となって進めてきた「分子機能電極の新展開」に関するシンポジウムで研究成果の発表・討論を行った(参加者約100名)。9月30日には分担者が全員集まり今後の進め方について話し合いを行い、方針を決めた。平成8年1月18日-19日まで分担者全員(1名30分)とその協力者による研究発表会を北海道大学学術交流会館において実施した。(参加者約80名)。翌日には渓流荘(札幌市南区定山渓)で助手層を中心とした若手の研究発表会を実施し、活発に交流を行った。さらに、平成8年2月12日〜14日に、日本と韓国の電気化学者が参加したセミナーを開催し(宮城県岩沼市)研究交流を行った(参加者約50名)。本年度得られた主な結果を以下に示す。1)有機硫黄化合物と導電性高分子を分子レベルで複合化させることにより、有機硫黄化合物の円滑な酸化還元反応が可能となり、高いエネルギー密度を持つ二次電池正極材料として利用できることが示された。2)ポリピロールなどの電解重合導電性高分子の長さを制御することにより、酵素活性中心と電極との間の電子授受を媒介させることが可能になった。3)電極表面を原子レベルで制御しAu(111)面とした水晶振動子マイクロバランスを用いることにより、銅アドアトムの析出過程を観測することができた。