研究概要 |
最終年度では,生産計画における生産情報の獲得の面から工場モデルを整理し,製品モデルと工場モデルの相関による生産計画情報の生成過程を明確にすることを目的とした。以下の検討項目を中心に概念を整理し,造船における生産計画システムのプロトタイプ・システム,及び,工場シミュレータを構築した。 (1)工場モデルの概念の構築 生産活動が展開される工場に着目し,生産資源としてどの様な情報が必要であり,どの様な情報構造が生産計画において有効であるかを検討した。 (2)工場モデルと製品モデルの関係の整理 定義された工場モデルに記述される情報と製品情報の相関について検討する。特に,工場内を生産対象である製品モデルが流れる事象を物流の側面から捉え,製品モデルの情報構造および工場モデルの表現法法について検討した。 (3)工場モデルと作業モデルの関係の整理 物流として生産活動を捉えることに対して,工場の各工程における生産活動に着目し,造船所で展開される作業の詳細部の表現方法と工場モデルの相関を明確にした。特に,複数船の生産計画を念頭においた作業情報の管理について検討した。 (4)工場シミュレータの構築 工場モデルの整理に基づき,ペトリネットを利用した工場シミュレータを構築した。この工場シミュレータによって,生産計画で立案された工場内の物の流れと作業の流れがシミュレーションされ,生産計画の情報として利用されることが可能となった。 (5)生産計画の概念の一般化 構築した生産計画システムをベースに,組立産業一般に適応するための概念を確立することを検討した。この検討によって,造船業において検討した生産計画のシステムの概念を一般化し,製造業において有効となる生産計画の概念の体系化を図った。
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