研究概要 |
強磁場中(B_<max>=5T)においてAl-12wt%Si-2wt%Fe合金を融解・凝固させたところ,板状晶出相の金属間化合物AlSiFeが印加磁場方向に対して垂直に配向することを確認した.また,Fe-C(過共晶)合金を強磁場中で凝固させ,晶出グラファイトの挙動を調べた.その結果,グラファイトは磁化力を受け浮上,あるいは沈降することを確認した.さらに,グラファイト粒を樹脂中で凝固させる際には,グラファイトは結晶磁気異方性により同一の結晶方位方向に配向することを確認した. 垂直型ブリッジマン炉を用いて熱電材料(Bi_<0.25>Sb_<0.75>)_2Te_3の一方向凝固実験を行った.磁場の印加によって,結晶の成長方向が鉛直方向からずれることが見いだされた.また,得られた試料の濃度分布を調べたところ,磁場を印加した試料では,中心部の成長方向にBi濃度が高くなる傾向が観測された.さらに,半径方向では中心部のBi濃度が高く,Bi_2Te_2が中心部に偏析していることを確認した.このような現象が生ずる理由は磁場印加によって対流が抑制され,拡散による溶質輸送と同程度の対流になったためと考える. 導電性を有する立方体容器内の液体金属の自然対流に及ぼす印加磁場の効果を解析的に調べた.解析手法は,流体は非圧縮性流体であり,Boussinesq近似が成り立つものとし,連続の式,運動方程式およびエネルギー方程式を連成して解いた.結果は,壁の電気伝導度が大きくなるにしたがい,印加磁場の方向によらず,対流抑制効果か大きくなることを確認した. 静磁場(0.5T)を利用した反磁性液体の浮揚および固定化技術の確立を目的とし,シリコンオイルと磁性流体を用いたモデル実験および数値シミュレーションを行い,次に示す知見を得た. 1.互いに混合しない磁性流体と非磁性流体を共存させた場合,弱磁場によっても反磁性流体を浮揚させることができる. 2.反磁性液滴に同極を対向させた非一様磁場を印加すると周りの触媒より磁化率の小さい液滴は磁場の弱い中央部に向かう磁気力を受けて安定浮揚する. 3.滴の浮揚状態は,磁場の強さと分布,周りの触媒の磁化率,液滴の磁化率と体積,および触媒と液滴の密度差および界面張力の影響を受ける.
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