研究分担者 |
渡辺 芳人 京都大学, 分子化学研究所, 教授 (10201245)
福住 俊一 大阪大学, 工学部, 教授 (40144430)
成田 吉徳 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 教授 (00108979)
大倉 一郎 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (90089821)
上山 憲一 大阪大学, 理学部, 助教授 (80093376)
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研究概要 |
新規な触媒の開発を目指して,金属酵素の触媒機能を金属錯体で実現する研究の一環として活性中心を含む錯体の開発のみでなく,電子伝達系との組み合わせについて種々検討した。電子の供給源としては金属錯体系,光系,電気化学系,有機還元試薬系などを組み合わせた機能モデル系の構築を試みた。本研究では,酸素活性化,酸素の発生などの基盤的反応に関与する鉄と銅錯体と電子伝達系の複合系の開発という,これまでの研究から一歩踏み出した課題の解決に取り組んだ。 1)金属錯体による選択的な酸素化機能の実現 酸素化酵素としてはポルフィリン配位子を有するヘム鉄系と非ボルフィリン系の非ヘム鉄系(単核鉄と2核鉄)について種々の電子供与剤,電子伝達機能錯体を組み合わせて検討した。非ヘム鉄系では生体系で重要な役割を果たすヒドロキノンの有用性について検討し,チロシンヒドロキシラーゼモデル反応において新しい知見を得た。 2)酸素化反応以外の生体内触媒反応 活性酸素種として金属スーパーオキシジスムターゼや抗体触媒,NOS反応についても研究の幅を広げ,活性酸素の反応として総合的な理解を深めた。また,光合成反応における水からの酸素発生反応についての顕著な結果を得た。 生体系の電子伝達機能のモデル系での実現 生体触媒系では多くの酸化還元サイクルの組み合わせて効率的な触媒反応が完成されているのに対し,錯体系では電子供与サイクルの完成には程遠い。本研究ではa)生体系で電子伝達に重要な役割を果たす鉄硫黄蛋白の機能発現機構を鉄硫黄クラスターを中心にモデル系での実現について検討した。b)光合成やヒドロゲナーゼなどの光誘起による電子伝達機構を明らかにし,多重金属型やビオローゲン結合型金属ポルフィリン系で類似機能を実現した。c)酵素を修飾電極に用いた新しい電極での反応で電子移動に関する新しい情報を得た。
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