研究分担者 |
増子 孝義 東京農業大学, 生物生産学部, 助教授 (50123063)
安宅 一夫 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (70048122)
福見 良平 愛媛大学, 農学部, 助教授 (20036312)
熊井 清雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (20036461)
内田 仙二 岡山大学, 農学部, 教授 (80032986)
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研究概要 |
本研究の目的は,サイレ-ジ品質に及ぼす地域的要因を解析し,添加物処理によりそれらを克服して安定的に良品質サイレ-ジを調整する方法を確立することである.ここに最終年度の結果を報告するわけであるが,この目的はほぼ達せられた.従来,往々にして乳酸菌製剤の添加がサイレ-ジ品質の改善に無効だったのは,その乳酸菌が与えられた環境に適応できなかったためであり,サイレ-ジ調整に供しようとする牧草に付着する乳酸菌を増やして添加することにより,地域,季節,牧草の種類等に関係なく,糖さえ十分あれば必ず活発な乳酸発酵を起こすことを明らかにした.その方法はいたって簡単である.家庭用ミキサ-で調製した牧草ジュースをポリタンクに入れ,1%砂糖液で20リットルに希釈し,密栓して夏期は室温で,早春や晩秋は30℃程度に加温して1〜2日放置後,サイレ-ジ材料に0.1〜0.2%添加すればよい.乳酸菌製剤に比し,はるかに安価で効果の確実な添加物といえる.この添加物の開発と,各大学における添加効果の確認により,乳酸菌に基づく地域差は一挙に解決された. もう一つの大きな地域差は,それぞれの地域の気象条件の差に基づく牧草の種類,さらには亜種間における成分,とくに糖質含量の差である.たとえば同じアルファルファであっても,北海道で栽培した品種と名古屋や岡山で栽培した品種では糖含量が異なり,前者では緑汁発酵液の添加効果を得るには糖の添加も必要であったのに対し,後者では必要なかった.糖の直接添加に代わるものとしては繊維分解酵素の添加が極めて有効であった. 暖地型牧草においては糖の添加が必須といってもさしつかえなく,繊維分解酵素の添加により著しいサイレ-ジの品質改善効果が得られた.さらに乳酸菌あるいは緑汁発酵液を添加することにより品質が改善されることもあったが,必須という程のものではなかった.
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