研究課題/領域番号 |
07306014
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
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研究分担者 |
山本 博 富山医科薬科大学, 動物実験センター, 助教授 (00108797)
小山 弘之 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (00072372)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
梅村 孝司 鳥取大学, 農学部, 教授 (00151936)
生田 和好 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
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キーワード | FIV / 進化 / 定量 / 中和抗体 / AP-1 / vif / ORF-A / CD8 |
研究概要 |
本研究の目的は、FIVを分子生物学的及び免疫学的観点から、総合的に研究することにより、FIVの遺伝特性を明らかにすると共に、その生体内での病原性のメカニズムを分子レベルから固体レベルで探ることにある。本年度は以下のような成績を得た。 1)南米(アルゼンチン)から初めてFIVを5株分離し、LTRの塩基配列を従来のFIVと比較したところ、4株は新しく5番目のサブタイプに分類された。このことは南米において独自の進化をしたFIVの存在を示唆した。 2)PCRによるネコPBMC中のFIVプロウイルスの定量系を確立し、FIV TM2株タイプの実験及び自然感染ネコ共に有効な系であった。 3)中和抗体価の新しい測定法を確立し、FIV感染ネコでは中和抗体価が感染後約30週まで上昇し、無症状潜伏感染のまま7年後も高い中和抗体価を維持していることが明らかになった。 4)FIV遺伝子のAP-1結合部位、vif及びORF-A欠損変異株の感染実験により、生体内において、AP-1結合部位はFIVの転写の促進に関与していること、vif遺伝子は感染及び増殖性に極めて重要であること、ORF-A遺伝子は決して必須ではないが複製及び増殖性に影響を与えていることがそれぞれ示唆された。 5)ネコのCD8のα及びβ鎖をコードするcDNAのクローニングにそれぞれ成功し、CD8α鎖では、ヒト、ウシ、ラット及びマウスのそれとアミノ酸配列を比較すると、それぞれ65.6、62.3、51.0及び49.3%の相同性だった。CD8β鎖では、ヒト、ラット、マウス及びニワトリのそれとそれぞれ、71.2、54.5、48.8及び32.2%だった。また、細胞でCD8α鎖を発現させ、ネコのCD8のモノクローナル抗体FT-2がCD8α鎖を単独で認識できないことが示された。さらに、CD8α鎖を安定的に発現する細胞の作出に成功した。
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