研究分担者 |
坂井 直樹 東京大学, 農学部, 助教授 (00092213)
佐合 隆一 茨城大学, 農学部, 助教授 (30261746)
土崎 常男 鯉渕学園, 教授 (30207394)
阿部 淳 東京大学, 農学部, 助手 (60221727)
木村 真人 名古屋大学, 農学部, 教授 (20092190)
|
研究概要 |
本研究は「不耕起無代掻移植深水栽培」を従来の栽培法と比較し,その生育,収量成立過程などを比較検討するものではなく,水田生態系の変化の検討という視点から,水田生態系を主として構成する土壌,作物,雑草,微生物,昆虫などの変化およびこの生態系の変化が生産システムにどのように影響するかを同一水田において調査研究することを目的としている. 平成7年度は,本総合研究採用の決定が遅かったため,本栽培法を長年行っている千葉県農業試験場水田作研究室と現地農家の圃場を調査し,その結果と分担者が個々に調査した結果とを基礎に討議した. 不耕起栽培によって,土壌表層部1cmに多量の有機態窒素が集積し,多数の微生物が生息し,さらに表層部5cmに根が著しく発達していることが認められた.また,不耕起栽培水田では,水稲群落内の節足動物の種類が多く,クモ類の中で捕食能力の高いコモリグモ類がクモ群集中優占し,ツマグロヨコバイ,ウンカ類の発生量が若干低かった. 水稲の生育量はやや少ないが,葉の枯れ上がりが少なく,千粒重が高くなるなど,秋まさり的生育を示した. 調査した約250編の文献の大部分は畑作における不耕起栽培のもので,本研究の対象である不耕起無代掻移植深水栽培の文献は極めて少ないことが明らかとなった. 平成7年度のこのような実績を基に,平成8年度には千葉県農業試験場の協力の下に,同試験場内圃場と千葉,福島県の農家の水田を選び不耕起無代掻移植水田の生態系の変化を追究する.
|