研究課題/領域番号 |
07306024
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応募区分 | 総合 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩田 邦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (80196352)
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研究分担者 |
西原 真杉 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 助教授 (90145673)
森 裕司 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 助教授 (40157871)
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80150192)
板垣 慎一 東京大学, 大学院・農学生命学研究科, 助教授 (00159823)
小川 智也 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 教授 (30087572)
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キーワード | 胎生期 / 羊水 / 胎仔 / 胎盤 / 神経発達特異分子 / 母性行動 / 胎盤性ラクトジェン |
研究概要 |
胚発生・胎仔の発育は妊娠のステージの進行に伴い、適切な胎生環境のもとで胎仔の遺伝子プログラムに従い不可逆的に進行する。神経系の発達も例外ではなく、多くの神経機能獲得が胎生環境により影響を受ける。胎盤は、母体の持つ生理活性物質のほとんど全てを作り出す能力があり、胎盤由来の糖タンパク、胎盤性ラクトジェン(PL)は母親の中枢神経機能に作用し妊娠から哺乳期に至るまで、母動物の行動、代謝に重大な影響を与えている。本研究計画は、胎盤の胎生期中枢神経系発達と機能獲得への関与について研究しようとするものである。 先に申請者らは胎仔脳に胎盤由来の糖タンパク質ホルモン、PLの受容体が発現していることを報告した。本年度は胎盤中と羊水中に数種類のPL様物質が存在すること、先に報告したラクトジェンPL-Imとは別に、新規胎盤由来のプロラクチン様物質PLP-Dの遺伝子クローニングに成功した。そして、先に申請者らが発見した胎盤性ラクトジェンPL-Imの組み換えタンパク質を作成し、機能発現に糖鎖が重要であること、これにより胎仔中枢神経初代培養系で誘導される新規物質のcDNAのクローニングを行った。その結果、新規物質を含む数種類のcDNAを得た。遺伝子産物の一つは核移行シグナル、リン酸化部位を有するなどの特徴を持つ。現在、PLがフェロモンによる記憶に関係している可能性を考え、PLにより誘導される因子と母体中枢での記憶との関連、および、胎仔脳神経機能獲得における関与について研究を開始した。これと平行して、胎盤と胎仔脳両方に発現しているステロイドホルモン受容体様の核タンパク質であるオ-ファン受容体を探索し、現在その機能も解析中である。胎盤と胎仔脳が同一受容体をもっていることが明らかになったため、胎盤機能変化と胎仔脳発育が共通の因子で制御されている可能性も考えられる。
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