研究課題/領域番号 |
07306025
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70111482)
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研究分担者 |
内藤 順平 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30048467)
斉藤 徹 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (70211258)
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
松井 寛二 信州大学, 農学部, 教授 (50126166)
原田 悦守 鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)
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キーワード | 心拍変動解析 / 血圧変動解析 / パワースペクラム / 自律神経 / シバヤギ / ヒツジ / ウマ |
研究概要 |
今年度はとくに心拍変動解析を通じて各種動物にみられる特徴や類似性を明らかにした。 1.シバヤギの心拍間隔解析 シバヤギにおいても心拍数および心電図R-R間隔において比較的明瞭な日内リズム存在すること、摂食行動中には交感神経緊張が著しく高まること、安静時のR-R間隔の周期的変動には副交感神経(迷走神経)の活動変化が関与していることが明らかになった。R-R間隔は無麻酔下の反すう家畜においても自律神経機能の変化を推測する指標として有益であることが確認された。 2.ヒツジの心拍変動解析 1)平均心拍数は生後直後には180bpm(回/分)を示したが、生後60〜90日には70-80bpmまでに減少した。2)安静時のCVは全期間を通じて6〜8%で変動幅が大きく、一定した経時的変化は認められなかった。3)安静時のLF/HF面積比は生後30日齢までに1.7から0.3〜0.4まで著しく減少し、夏期高温や肥育に伴ってやや増加した。また、肥育をしない雌は気温の低下に伴って減少した。4)HFピーク値は生後1〜2週間は0.7〜0.8Hzを示したが、2ヶ月齢では0.3Hzと明瞭な減少を示した。しかし、その後は肥育に伴い増加する傾向が認められた。これらの成績から、ヒツジにおいては、生後直後には交感神経緊張が高いが、成長に伴い交感神経緊張が低下し、副交感神経緊張の度合いが増加することなどが推測された。 3.ウマ(サラブレッド)の心拍変動解析 安静時心拍間隔のパワースペクトラム解析によって、他の動物と同様にHF成分(0.01-0.07Hz)とLF(0.07-0.6Hz)成分が出現することが明らかになった。副交感神経遮断薬のatropineは両成分の出現を完全に抑制し、交感神経遮断薬のpropranololは逆に増強させた。なお、心拍と呼吸との相互相関は0.15Hzで、心拍と血圧との相互相関は0.03Hzでもっとも高く、前者は呼吸の影響を強く受けるが、後者については第3級変動(メイヤー波)と呼ばれる主として圧反射性のゆらぎが関与していることが推測された。
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