研究分担者 |
中内 啓光 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
広川 勝いく 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00014093)
徳久 剛史 千葉大学, 医学部, 教授 (20134364)
日合 弘 京都大学, 医学部, 教授 (10073131)
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研究概要 |
T細胞生成の研究は以下の3つに大別できる.a)T前駆細胞(progenitorという意味で仮にproTと呼ぶ),b)胸腺微小環境との相互作用,c)T細胞抗原レセプター(TCR)を介する活性化と選択.本研究は13の研究グループが共同で行うものであり,これら全体にわたる. proTは胸腺へ移行する前のもの(p-proT)と胸腺内のもの(t-proT)で大きく異なり,p-proTは造血幹細胞と明確に区別できない.また,胸腺内にもごく少数であるが分化の多能性を持つものがあるようである.桂は,マウス胎仔胸腺細胞を多くの表面マーカーを用いて分画し,t-proTと多能性を保持する分画を分離することに成功した.一方,中内は骨髄中にリンパ球系幹細胞が存在する可能性を示しており,なお議論の分かれるところである.垣生は,胸腺内でTCR発現に先んじてTCRβ遺伝子が脱メチル化する段階があることを示した.リンパ球初期分化に伴う増殖にはIL-7が関与するが,徳久はIL-7による増殖においてc-fosが負方向への調節に関与することを示した.また,日合はリンパ球の癌化にかかわる遺伝子を2つ同定しており,これらがリンパ球の増殖に関与する可能性を示した. 胸腺微小環境の作用についても分子レベルの解析が進みつつある.村上は,TCR遺伝子再構成にかかわるRAG遺伝子の発現には,ストローマ細胞表面分子とサイトカインの両者からの刺激が必要であることを示した.広川は,胸腺上皮細胞株が発現するいろいろのチロシンキナーゼの同定を行っている.また鈴木は胸腺細胞の増殖に関与する新しい因子TLSFを同定した. TCR発現後の段階は,主にTCRが関与する活性化,正・負の選択が起こる.佐竹はTCR発現の調節機構を,小野江と上出は負の選択にかかわる機構を,それぞれ分子レベルで解析しており,興味ある知見が得られつつある.
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