研究分担者 |
佐竹 正延 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178688)
斎藤 隆 千葉大学, 医学部, 教授 (50205655)
広川 勝いく 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00014093)
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
中内 啓光 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)
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研究概要 |
造血幹細胞の分化決定の機序に関して大きな前進があった.従来は造血幹細胞とT前駆細胞を区別する方法がなく,T細胞初期分化の解析は困難に直面していた.本年度,桂は幹細胞とT系列前駆細胞だけでなくB系列前駆細胞、ミエロイド系列前駆細胞も含めて,すべてを分別検出できるclonalassay法(MLP法)を開発した.このMLP法を用いて,T前駆細胞が初めて検出され,幹細胞は胸腺とは無関係にT系列へと決定されることが示された.このことによって,T細胞初期分化の研究は飛躍的に発展する基盤が作られた.また,従来は検出に大変な手間がかかっていた幹細胞も,MLP法を用いればわずか10日間で簡単に測定できるようになった. 中内は幹細胞がCD34^-であることを示し,この幹細胞は1個移入するだけでマウスの全血細胞を作り出すことを示した.垣生は胸腺中のLin^-O-kit^+CD44^+細胞でTCRβ鎖遺伝子は再構成を起こしていないが,D-J領域のgerm line発現と同部位の脱メチル化が起こっていることを発見した.広川は,胸腺が下重体,視床下部および副腎のコントロールを受けていることを,これらの器官を破壊することによって明らかにした。Jak3(斉藤)およびPEBP2αB(AML1)(佐竹)のノックアウトマウスも作られ,これらの遺伝子がT細胞の生成や機能分化に関与する機構が詳しく解析されつつある.この外にも多くの業績がもたらされ,T細胞初期分化の機構について多くのことが明らかになりつつある.
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