研究分担者 |
広川 勝いく 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00014093)
斉藤 隆 千葉大学, 医学部, 教授 (50205655)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
鈴木 元 放射線医学総合研究所, 室長 (00179201)
垣生 園子 東海大学, 医学部, 教授 (30051618)
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研究概要 |
胸腺におけるT細胞の生成について総合的に研究した. 最も基本的な問題は,胸腺へ移行するのは造血幹細胞自身なのかT細胞系列へ決定された前駆細胞なのかといくことであった.multilineage progenitor assay(MLP法)の開発によって,T細胞系列へ決定された前駆細胞(p-T)がマウス胎仔肝臓中に存在することが明らかになり,p-Tが胸腺へ移行することが示された.胸腺では,p-TからT細胞への分化と増殖,さらに正負の選択が行われる.この間に未成熟T細胞は胸腺中で位置を変えるが,その動きにケモカインSDF-1が関与していることが示された. T cell receptor(TCR)のαβ型とγδ型に分かれる過程は不明であるが,αβT細胞においてはβ遺伝子の再構成に先行してgerm line転写が起こること.さらにα鎖のgerm line転写はJα49の上流域に存在するcis elementによって誘導されることが示された. αβ系列の未成熟T細胞は,CD4^+CD8^+段階になるとTCRを細胞表面に発現し,TCRからのシグナルによって正・負の選択を受ける.単一のMHCクラスII/ペプチド複合体を発現する数系統のトランスジェニック-ノックアウトマウスを樹立し,これらのマウスにおける胸腺細胞を解析した.同一のMHCクラスII/ペプチド複合体が,胸腺での発現量に影響されつつ,正および負の選択においてリガンドとなり得ることが明らかになった. 正・負の選択とCD4/CD8系列への分化には,TCRからのシグナルの強さが関与する.それを決めるのは,胸腺環境内でいろいろの分化段階の未成熟T細胞と相互作用し,しかも抗原提示能を持つ上皮細胞である可能性が示された.
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