研究概要 |
本研究では、C型肝炎ウイルスのNS5A領域の2209-2248の変異とインターフェロン治療効果、ウイルス量との関連が明らかにされた。このHCV NS5Aは転写活性化能を有していた。C型肝炎ウイルスのNS5A領域と結合する肝細胞蛋白をtwo hybrid systemを用いて検討したところ、Rac-1,ribosomal protein,Rab4,MIFなどが見つかった。肝炎活動性に関連するHCVRNAの遺伝子塩基配列の領域を明らかにするため、インターフェロン前後のALT正常時と憎悪時の全塩基配列の経時的変化を解析したところ、アミノ酸配列の相違はE2/NS1とNS5Bに集積していた。 GBV-C肝癌促進に関与するか否か検討したが、C型肝癌でのGBV-Cの頻度は肝硬変と変わらず、またGBV-C陽性と陰性の肝癌での臨床像に差異は認めず、また、肝細胞内におけるマイナス鎖GBV-Cは検出されなかった。このことからGBV-Cが肝内での増殖はなく、肝癌への関与も少ないものと推定された。 インターフェロン治療症例での肝発癌抑制効果の解析を多施設で行った。C型慢性肝炎のインターフェロン治療効果に関する多変量解析を行い、ウイルス量、ウイルス型、輸血歴、組織の進行度、性別などともに血液中のferritin含有量との関連も見いだされた。ウイルス駆除症例においてはその後の肝組織像の改善が示されてきており、C型肝炎の進展阻止にはより効果的にウイルスを駆除する方策の重要性が明らかにされた。ことに、肝硬変にもっとも近いF3 stageの慢性肝炎からの肝発癌をインターフェロン投与症例、非投与症例で比較検討した結果、ウイルス駆除群からの発癌の低下はもちろんのこと、ウイルス駆除無効症例においてもトランスアミナーゼの逓減化は肝発癌抑制に作用していることが示された。 肝発癌の早期発見のための腫瘍マーカーの役割をプロスペクテブに肝硬変症例で検討したところ、AFPのlectin分画、高感度PIVKA-II、MAGE-4の推移などを詳細に解析することにより、画像で検出されない早期肝癌の発見のおける腫瘍マーカーの重要性が示された。
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