研究分担者 |
山西 弘一 大阪大学, 医学部, 教授 (10029811)
内山 竹彦 東京女子医科大学, 教授 (00050550)
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
古川 漸 山口大学, 医学部, 教授 (30095830)
柳澤 正義 東京大学, 医学部, 教授 (90049031)
|
研究概要 |
川崎病の成因として、細菌の産生するTSST-1等のスーパー抗原説が提唱され、問題となっている。患者から分離された細菌31株の検討では、培養上清に強いリンパ球増殖刺激活性が認められ、そのうち16株に既知のスーパー抗原が検出された(SEA,A,B,C,D,TSST-1)。残り15株について新規のスーパー抗原の精製を試み、3つの分画が得られた。この分画に反応するT細胞のVβレパトアは共通しており、Vβ5.1,5.2,6,18,21陽性T細胞は3つのいずれにも反応するのみならず、患者分離31株の殆に反応していた。これに対し患者リンパ球の検討では複数の報告で一定の傾向は認められていない。患者リンパ節ではリンパ球のアポトーシスは観察されるものの、末梢血では、T細胞の活性化からのスーパー抗原の検討では、その関与を示すデータは認められず、むしろマクロファージの活性化を示唆する所見が電顕で得られた。川崎病に対するスーパー抗原の関与の研究は多くの成果がえられたものの今後のさらなる検討が必要である。 川崎病の発症には患者の遺伝的感受性が関与している可能性がある。川崎病を発症した患者と同胞の末梢リンパ球のTNF-α産生能を比較したところ、患者、同胞は対照に比べ高いTNF-α,産生能を示し、川崎病の発症が遺伝的に規定されている可能性を示唆した。そこでTNF-α遺伝子のプロモーター領域の多型を調べ、プロモーター活性に影響を与える多型について、現在患者解析を行っている。これとは独立して、発症には分離株間の検討が必要との考えから解析がすすめられ、細菌の産生するヒト血小板凝集因子の検討がなされた。また培養の難しいマイコバクテリウム遺伝子の検討から、患者血清中に特異的な菌の存在を示唆する所見がえられた。
|