研究課題/領域番号 |
07307014
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高木 弘 名古屋大学, 医学部, 教授 (70154755)
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研究分担者 |
中川原 儀三 福井医科大学, 医学部, 教授 (10019549)
土肥 雪彦 広島大学, 医学部, 教授 (90034024)
岡 隆宏 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (60079837)
折田 薫三 岡山大学, 医学部, 教授 (20033053)
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
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キーワード | 異種移植 / トランスジェニック動物 / 補体不活化因子 / 異種抗原 / ガラクトース転移酵素 / フコース転移酵素 / 免疫寛容 |
研究概要 |
移植医療におけるドナー不足問題を解決するため、異種臓器移植の実現が待ち望まれている。その臨床応用へ向けて必要な知見を得ることが本研究の目的である。本研究では(1)超急性拒絶反応に関与する抗原抗体反応、補体活性化を抑制するための遺伝子制御法の確立と遺伝子操作技術を駆使し拒絶反応を起しにくいブタを作成する、(2)炎症異物反応を含め異種移植臓器に対する拒絶反応機構全般そして免疫寛容メカニズムなど免疫応答の解明と新たなる異種移植攻略法を探究する、ことを計画した。 本年度に得られた成果として、(1)補体制御膜因子遺伝子の1つであるHRF-20遺伝子を導入したブタの作成に成功した。また、アデノウイルスベクターを用いドナー動物への遺伝子導入に成功し、その発現率を向上させる研究が進められている。α1,3ガラクトース転移酵素をダブルノックアウトしたマウスES細胞を確立し、細胞膜αガラクトース抗原発現抑制、1つの糖鎖転移酵素を抹消することから生じる細胞機能変化などを検討している。この技術を家畜動物であるブタに応用しα1,3ガラクトース転移酵素のノックアウトブタ作成に取り組む。また、ブタ血管内皮細胞を用いたin vitro実験で、フコース転移酵素やシアル酸転移酵素の遺伝子導入によりαガラクトース抗原の発現の抑制が証明され、異種抗原発現抑制のためにフコース転移酵素を導入したトランスジェニックブタ作成を試み成功した。今後はこのような糖鎖転移酵素の遺伝子移入による細胞表層糖鎖の改変とそれに伴う機能変化について詳細に研究する必要がある。(2)異種動物間の移植実験において抗接着分子抗体、ドナー骨髄細胞、AT-IIIなどの投与による生着延長効果が認められ、抗原提示、免疫寛容など免疫応答メカニズム解明と新たなる拒絶反応抑制方法の可能性が示唆された。
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