研究課題
乳がんは、患者の心理・社会的な側面にも多大な影響を及ぼす。しかし、平成7年度に行った乳がん患者対象の面接調査(質的研究)になると、患者自らが心理・社会的問題を外来主治医などの医療従事者に相談することは必ずしも多くなかった。その理由として、身体的問題以外のことを相談しては悪いと考える患者が多いことや、一人当たりの外来診療時間が非常に限られていることなどがあげられた。これに加え、医療従事者が患者の心理・社会的問題に興味を持たず、外来で積極的に問題の掘り起こしを行なっていない可能性も考えられる。そこで本年度は、平成7年度の研究結果をもとに、乳がん患者の心理・社会的問題に対する医療従事者の認識を明らかにするため、約200名の乳腺外科医を対象にした郵送式の自記式アンケート調査を行った。質問項目は以下のとおりである。1)闘病中に経験すると予想される心理・社会的問題のそれぞれに対して、下に挙げた誰が支援提供の中心となるべきだと考えているか。*支援の提供者:外科主治医、精神科・心療内科医、心理カウンセラ-、医療ソーシャルワーカー、宗教家、乳がん患者会、その他の同病者、病院ボランティア、家族、友人*問題の内容:医学的情報および術後の生活に関する問題、周囲との関係、精神的な悩み2)精神医学や心理専門家との連携の現状について。患者を精神医学や心理専門家に紹介した経験の有無、過去1年間の紹介患者数、精神医学や心理専門家による介入の評価など3)対象外科医の、患者会・病院ボランティアへの評価、受容度。患者会に関する知識や協力の度合い、患者を患者会に紹介した経験の有無、患者ボランティアによる病院訪問サービスの受け入れの有無、患者ボランティア活動の評価予想と理由など。現在、アンケートを回収中であり、最終報告書で結果をまとめたい。
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